私よりもずっと薄着の人がまったく平気な顔で歩いていて、うらやましいったらなかった。
早歩きをしたいのではなく、歩かないと寒くて仕方がなかったから、いつもよりスタスタ歩きになった。
だけど、ちゃんと春なのだ。
家の近くの枝垂れ桜が、小さく赤いつぼみをつけ始めていた。
ほんのり、小さな小さな赤なのに、ぬくもりを感じる。
私のなかの赤い血を励ましてくれるようだ。
毎年、ソメイヨシノが散って寂しいなあと思うころに、満開になってくれる優しい桜。
その頃には、暑いくらいの日もあるんだろうなあ。
楽しみだなあ。