いまでも苦手だけど。
こどものころは、ストロベリー味のソフトクリームがダメだった。
味というよりは、色がだめだった。
おかげで、チョコかバニラか、そのふたつのミックスしか選択肢がなかった。
ある日、バナナとチョコのミックスを食べたらすごくおいしくて、これからはチョコバナナだなと幼い私は決めたのだった。
だけど、ある日。
お店の前でメニューをみていた知らないおじさんが「なんやこれ、バナナって、サルみたいやないかー?がはははは・・・」と笑っているのを聞いてしまったせいで、チョコバナナとお別れをした。
デリカシーのないおじさんの声が、バナナに呪いをかけたみたいだった。
そしてそれ以来、ソフトクリームを食べられることに、はしゃいでいる自分を大人にみられることも嫌になってしまった。
タイムマシンに乗れたら、あのおじさんの隣りに立ちたい。
「めっちゃおいしいねんで。」って、教えてあげたい。
きっと、大阪弁で「ほんまか。ほな、おっちゃんも食べてみよか?」とか、言ってくれたんだと思う。