大好きな風景をきりとりに、歩道橋をのぼる。
向かいがわの階段からも、男性がひとりのぼってくる。
私たちは歩道橋の上ですれちがって、ほぼ同時に立ち止まった。
男性だと思っていたけど、まだ高校生かもっと下か?の男の子だった。
その子も、私も、同じことをして、用が済んだので、歩き出した。
あ、また同時だったなあと思って、ふり返ったら、にこにこ嬉しそうに携帯電話をポケットにしまっていた。
顔も覚えていないけれど、同じ時間に、同じ景色をきりとった人がいる。
年齢だけで言うと、彼は私より長生きするだろう。
それがとっても嬉しくて素敵なことだと思った。
人は、ひとりじゃないし、たとえ、ひとりになったとしても、その1は、途方もない数の最後の1だ。