私は高校時代、朝、何回も遅刻している。
寝過ごして遅刻したのは1回で、のこりはわざと時間をずらしたくなったのだ。
今おもえば、誰よりもはやく行けばよかったなあ。
おばかな私。
同じ制服姿の人間が、まっすぐ同じ方向に向かっていくのをみていると、怖くなるのだ。
はみ出ることは嫌なくせに、流れに乗ることも嫌。
でも、だったらやっぱり、誰よりもはやく行けばよかった。
背中を見なくて済んだのに。
あほたれな私。
今日、夕方のラッシュで似たような景色をみた。
駅に向かって歩いている人の流れに入りこんでしまった。
ほとんどの人が黒いコートを着ていて、ときどき、そのコートが揺れている。
壁にディスプレーされているハロウィーンのコウモリが飛び出してきたみたいだった。
みんな、急いでいるようだし、駅のまわりはうるさいくらいだったけど、スローでロマンチックな歌を脳内BGMにしたら、すべての人が愛おしくみえた。
高校生の頃との違いは、世界をメルヘンでファンタジーな世界に変換するようになったことと、人の背中ではなく、自分の行きたい方向しか見なくなったこと。
私は、