道ばたのサボテンのつぼみを撮影したとき、携帯のデジタル表示は「16:16」だった。
空には白い半月が浮かんでいて、金色に近い夕陽がビルの後ろへ隠れようとしていた。
もう何年も前に閉店した飲み屋さんの看板は、もとから色あせていたことを思い出したとき、
しだれ桜の枝は、暗い緑とオレンジの葉っぱを着けて優雅に風とたわむれた。
片方だけの黒い作業用の手袋は数日前からの落とし物。
すでに持ち主は新しいものを買ってしまったのかもしれない。
次、落としても目立つように赤にしたんじゃないだろうか。
小さいけれど大輪のタンポポは黄色。
そばに落ちていたこげ茶色の種は椿。
イワシではなく、イノシシ型の雲をみつけた。ベビーピンク。豚ではなかったと思う。