椿の花は、咲いているときも、散るときも、美しい。寒いのに、名前のとおり、春より先に春を体現してくれるし、ほんとうに良くできた花だなあと思うけれど、実も、日に日につややかになって、麗しい。柔らかいのかと思ったら、とても硬い。これが割れて種が出てくる。割れ方も無駄がなくて絵になるのだ。そして、ほんの少しだけ、種からは、油がとれる。昔の人は、どうしてこの油が髪や皮膚にいいと思ったのか、ほんとうに不思議。簡単にとれる油でもないのに!
我が家には、椿油を常備している。有名だからというのもあるけれど、大島の椿油に愛着がある。セカンドアルバムの「Wind Climbing」のジャケット撮影をしたのが、大島だったから。都会の剪定された椿とは違って、見あげるような木が並んだ椿の森の中で、たくさんの“椿さん”(樹齢を考えたら、お姉さんばかりだったと思う。)たちと一緒に写真に収まった。あれから、2月ごろになると、「そろそろ椿まつりだなあ。」と思う。いつか行こうと思っている間に、ずいぶんの年月が流れてしまった。今ごろは、あの椿の森にも、実がなっているのかな?