昨日、十三夜ということを
すっかり忘れていた。
悔しい。
でも、今日は今日で、
きよらかな月だった。
閉店後のお店に、
これから何かの作業で入ろうとしている
男性たちとすれ違った。
いろんな長い夜があるんだなあ。

私は、歌をうたう仕事以外で、
憧れたものがいくつかあって、
そのうちのひとつがデパートの
ディスプレーをつくる人だった。
舞台のセットをみているようで、
私にとっては、当時学んでいた
演劇の勉強のようにも思えた。
よく、人生をドラマに例えたりするけれど、
だあれもいない夜の道は、
私の大事な舞台で、ディスプレー。
ほんとうの季節が、その瞬間、
私のためにトレンドをみせてくれる。
月と街灯が素晴らしい照明になって、
風は音楽になったり、
相手役になったりしてくれる。
今日はクマみたいな木が、月を抱えて登場した。
